提案する女性

少し前までFX取引といえば「くりっく365」が人気でしたが、最近は店頭FXでFX取引をする方の方が断然多いです。

くりっく365の利用者数が減ったのは、「税制上のメリットが消えたから」というのが最も大きな原因ですが、くりっく365と店頭FXとでは税金にどの様な違いが有ったのでしょうか。

ここでは、くりっく365と店頭FXがそもそも何なのかや税金の違いなどについて見ていきましょう。

注:この記事では、過去の税制について記載がされています。現在の税制についても後半で記載しているので、混同しない様に注意して下さい。

なお、2017年現在においてくりっく365と店頭FXにかかる税金に違いはありません。以前は違う方法で税金が計算されていましたが、今は同じです。

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くりっく365とは?店頭FXとの違いは取引所の有無!

そもそも「くりっく365」とは一体何の事なのでしょうか。以下で順を追って見ていきましょう。

日本で個人向けのFXが始まったのは、外国為替及び外国貿易法(外為法)が改正された1998年の事です。

株式取引をする場合、証券会社を通して証券取引所で売買をしますよね。しかし、FXにはこの様な取引所が基本的に存在しません。外国為替市場という言葉をニュースで聞く事が有ると思いますが、これは単に銀行間の為替取引での水準の事を指しているに過ぎないのです。

そこで、個人投資家がFXをする場合は、原則として店頭取引(=相対取引)によって業者と直接為替の売買取引をする事になります。この様に、投資家とFX業者が直接為替の取引をする事を店頭取引(店頭FX)というのです。

FX取引

個人でFXが出来る様になってから、次々にFX業者が登場し(ピーク時は400社以上!)FX市場は一気に活気づいたのですが、開始後しばらくは取引を規制する法律や監督官庁が無かったため、脱税行為や悪質なFX業者による勧誘行為、証拠金に関するトラブルなどが横行していました。

2005年になって、ようやくFX取引やFX業者を規制・監視する「改正金融先物取引法」が施行されたのですが、同時にFX専門の取引所を通じてFX取引が出来る「取引所FX」というものも登場したのです。

取引所FXでは、マーケットメイカーと呼ばれている金融機関が各通貨ペアの売買値を提示し、投資家は自分に有利な価格を提示している金融機関と取引が出来る様になっています。

そして、取引所FXの代表格が2005年7月に東京金融取引所(TFX)がサービスを開始した「くりっく365」ですね。他にも大阪証券取引所(現在は「大阪取引所」)による大証FXもあったのですが、こちらは2014年10月で休止となっているので、2017年現在、取引所FXは「くりっく365」のみとなっています。

参考:くりっく365には「くりっく365ラージ」というものもありますが、これは2015年11月にサービスを開始したスプレッドを重視する大口投資家向けの取引所為替証拠金取引の愛称です。

つまり、取引所を通じてFX取引をするのが「取引所FX(くりっく365)」で、取引所を介さず業者との相対でFX取引をするのが「店頭FX」という事ですね。

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くりっく365と店頭FXの税金の違い(2012年より前のお話)

税金

ここで紹介するのは、過去の話なので参考程度にして下さい。現在の話は後述します。

サラリーマンやOLなどの給与所得者がFXをするケースも有りますが、FXで得た所得(毎年1月1日から12月31日が課税の対象期間)は年末調整の対象外なので、給与所得者にFX所得が有る場合は確定申告が必要となります。

参考:給与所得及び退職所得以外の所得が20万円以下の方は、所得税の確定申告をしなくても構いません(参照元:FXの利益が20万円以下なら確定申告は不要。住民税の申告も不要?)。

くりっく365で出た所得(為替差益やスワップポイント)も店頭FXで出た所得も、どちらも雑所得)に分類されるのですが、税金の計算方法は異なります。

:9種類の所得(利子・配当・事業・不動産・給与・退職・譲渡・山林・一時所得)のいずれにも該当しない所得の事。FXによる所得の他には、公的年金や講演料、原稿料、印税などが該当します。

以下で具体的な計算方法の違いについて見てみましょう。

くりっく365は「申告分離課税」、店頭FXは「総合課税」!

ここでは、くりっく365と店頭FXとで具体的に税金の計算方法がどの様に違うのかについて見ていきましょう。

結論から言うと、両者の最も大きな違いは「申告分離課税」か「総合課税」かという点です。

くりっく365は「申告分離課税」となり他の所得(給与や不動産所得など)と区分して、所得の20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)が課税されます。

参考:FX取引では、原則としてポジションを保有しているだけでは課税されないので、含み益は課税の対象外です。ポジションを決済して実現した損益に対して税金がかかります。

要は、100万円利益が出ても税率は20.315%ですし、1億円利益が出ても税率は変わらず20.315%という事です。

電卓を触る女性

一方で、店頭FXによる所得は同じ雑所得でも「総合課税」の対象となり、他の所得と合算した合計の所得に対して課税されます。なお、住民税の税率は10%で固定ですが、所得税は超過累進課税により5%〜40%()の間で所得に応じて変動します。合計で15%〜50%の税金が課せられるという訳ですね。

:2007年(平成19年)〜2014年(平成26年)までの税率。2015年以降は5%〜45%です(参照元:国税庁「タックスアンサー 所得税の税率」)。但し、ここでは過去の話をしているので40%と記載しています。

従って、くりっく365はFXでどれだけたくさん稼いでも税率が固定なのに対して、店頭FXだと最大で所得の55%が税金として持って行かれてしまうのです。「稼げば稼ぐ程税制上有利なのがくりっく365」という訳ですね。

以下で、年収700万円の人がFXで400万円利益を得たときケースを例に、くりっく365と店頭FXとで税額がどれくらい変わるのか見てみましょう(分かりやすくする為に、所得控除と復興特別所得税は無視)。

■くりっく365の場合

項目税額計算方法
給与に対する所得税額592,500円(700万円−給与所得控除190万円)×20%ー42.75万円
給料に対する住民税額510,000円(700万円−190万円)×10%
FX所得に対する税額800,000円400万円×20%
合計の税額1,902,500円
■店頭FXの場合
項目金額計算方法
給料とFXの合計に対する課税所得9,100,000円給与所得510万円(700万円−給与所得控除190万円)+雑所得400万円
税額2,377,000円所得税146.7万円(910万円×33%-153.6万円)+住民税91万円(710万円×10%)

■くりっく365と店頭FXの税金差額
2,377,000円(店頭FX)-1,902,500円(くりっく365)=474,500円(くりっく365の方がお得!)

クリック365を使うか店頭FXで取引をするかの違いでだけで、これだけの税金差が生じるというのは驚きですね。

くりっく365は他の取引所上場先物取引と損益通算可能

納得する女性

FX取引で毎年利益が出る方は良いですが、そんなに毎年うまく行く訳ではありません。損失が出る年もありますよね。

くりっく365の取引で生じた損失については、他の取引所上場先物取引(株価指数先物取引や商品先物取引)で生じた所得と損益通算をする事が可能です。

つまり、他に先物取引をしていて利益が出ている場合は、そちらの税金を減らす事が出来るという事ですね。

例えば、くりっく365で200万円損失が出ていて、商品先物取引で300万円利益が出ている場合は、それぞれの損益を合算した100万円が課税対象となる、という訳ですね。

一方で店頭FXの場合は、総合課税の雑所得内での損益通算は可能ですが、他の各種所得との損益通算は出来ません。

くりっく365は損失の3年間繰越控除が可能

カレンダーと電卓

FX取引をしていて損失が出た場合、上記の損益通算によって税額を減らす事が出来ますが、他の先物取引による利益をFXの損失が上回っているケースでは、損益通算によってFXの損失を使い切る事が出来ないですよね。

この様な場合、くりっく365では使い切れなかった損失部分を翌年以降3年間にわたって繰越する事が出来ます。なお、繰越控除をするには毎年確定申告をするだけでなく、通常の確定申告書と少し形式の異なる「損失申告書」を提出する必要があります。

例として、初年度に100万円の損失を出して翌年以降利益が出たケースを考えてみましょう(FX以外の所得は無視)。

年数損益課税所得翌年への繰越額
1年目△100万円0円100万円
2年目30万円0円70万円
3年目50万円0円20万円
4年目50万円30万円0円

この例では、税金が発生するのは4年目だけという事ですね。

一方で、店頭FXの場合は損失が出ても翌年以降に繰り越す事は出来ません。従って、上の例では2年目から税金が発生する事になります。

くりっく365と店頭FXの税金まとめ

上で見て来た様に、店頭FXから始まった個人のFX取引ですが、くりっく365の方が店頭FXよりも税制上のメリットが大きかったので、くりっく365が登場してからは店頭FXからくりっく365に鞍替えする方が増えました。

まとめとして、以下でくりっく365と店頭FXの税制の違いを表にしておきますね。

 くりっく365店頭FX
税率
雑所得(申告分離課税)
所得に対して一律20.315%
雑所得(総合課税)
他の所得と合算して5%〜40%(+住民税10%)
損益通算
他の先物取引に係る雑所得との損益通算が可能
総合課税の雑所得内での損益通算が可能(他の所得との通算は不可)
損失の繰越控除
他の先物取引に係る雑所得との損益通算をしてもなお損失が残っている場合は、翌年以降3年間損失の繰越が可能
出来ない

2012年以降はくりっく365と店頭FXの税金に違い無し!

女性と電卓

上記の通り、くりっく365と店頭FXの税金計算方法は異なり、くりっく365の方が税制上のメリットが大きかったのですが、これは2011年までの話です。

2012年1月1日以降は、どちらも雑所得の申告分離課税として所得の20.315%が課税される様に統一されました。つまり、「店頭FXの税金計算方法がくりっく365と同じになった」という事ですね。

なお、損益通算や損失の繰越控除についても両者の違いは無くなっています。

参考:店頭FXとくりっく365の損益通算も可能です。

税金に差が無くなった結果、くりっく365の利用者が減少!

くりっく365の税制上のメリットが無くなった結果どうなったかというと、店頭FXの利用者が一気に増え、くりっく365を利用する方が減ったのです。

金融先物取引業協会の統計資料及びくりっく365のヒストリカルデータによると、クリック365の口座数自体は年々増加しており、2010年末時点で307,300口座だったのが2016年末には772,165口座になっています。

しかし、これはあくまでも口座数に過ぎず、実働している口座(取引実績の有った口座)の数は51,969口座から24,243口座まで減少しているのです。

まとめると以下の様な感じ。

 口座数稼働口座数
2010年末307,30051,969
2016年末772,16524,243

税制改正以降、口座を使っている人が半分以下になっている事が分かりますね。

というのも、くりっく365の税制面以外での大きなメリットは、「証拠金を東京金融取引所に全て預託するので、くりっく365を取り扱っているFX業者が破綻した場合でも全額証拠金が返還される」という点くらいです。

補足:預託された証拠金は金融取引所で区分管理されています。

比較

逆に、店頭FXの方が優れいてるという点は、以下の様にいくつも有ります。

  • 取引所FXよりも店頭FXの方が取引コストは安い(つまりスプレッドが店頭FXよりも狭い)
  • 取引出来る通貨ペアが店頭FXの方が多い
  • 店頭FXは独自のキャッシュバックキャンペーンがよく開催される
  • チャートや取引ツールが店頭FXの方が高性能

店頭FXの場合はスワップポイントの中抜き(FX業者の取り分)が有るので、この点についてはくりっく365の方がお得ですが、トータルで考えると店頭FXのメリットの方が大きいでしょうね。

税制上のメリットのおかげで活躍した「くりっく365」ですが、今後も当面は店頭FXが主流となる事が考えられます。

最後に

いかがでしたか?最近でこそあまり注目を浴びていない「くりっく365」ですが、登場してからしばらくの間は税制上のメリットが有り、多くの利用者を確保出来ていた事が分かりましたね。

しかし、くりっく365と店頭FXの税金計算方法が同じになり、クリック365の税制上のメリットが失われてしまった今、敢えてくりっく365を利用するメリットは無さそうです。

従って、特段の理由が無い限りは店頭FXを選んだ方が良いでしょう。

なお、くりっく365を含むFXによる所得に関する確定申告書の書き方については、「FXの確定申告の悩みが全て解消!書き方から税金の基礎まで全て解説します」で解説しているので参考にして下さい。

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