決算期変更

会社の決算期は設立時に定款で定めるのですが、実はこれ、その後で自由に変更出来るんです!

しかも、決算期の変更が節税に繋がる事も有ります。多くの社長さんにとって”如何に税金を減らすか?”は、経営上の最重要事項となっているでしょうから、知っておいて損はありません。

ここでは、決算期の変更をする際のメリット・デメリットや注意点などについて紹介していきます。

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上場企業でも頻繁に決算期を変更しているケース有り!

3月決算の会社や12月決算の会社など、会社の決算期(決算月)は様々ですが、一度決めた決算期を変更するってあまり聞かないですよね。

しかし、東証一部上場企業の中に決算期変更を積極的に行っている会社が有ります。それは、計測・制御機器大手の株式会社キーエンスです。

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キーエンスと言えば、従業員の平均年収が非常に高い事で有名で、2016年の平均年収は何と1,777万円です(参照元:「就職四季報・総合版」 2018年版 東洋経済新報社)。

キーエンスは、以下の様に平成23年から平成28年までに決算期変更を繰り返しています。

事業年度備考
第40期平成23年3月21日〜平成24年3月20日
第41期平成24年3月21日〜平成24年6月20日3ヶ月決算
第42期平成24年6月21日〜平成25年3月20日9ヶ月決算
第43期平成25年3月21日〜平成26年3月20日
第44期平成26年3月21日〜平成27年3月20日
第45期平成27年3月21日〜平成27年6月20日3ヶ月決算
第46期平成27年3月21日〜平成28年3月20日9ヶ月決算

1987年の上場以来、平成27年で4回目の決算期変更です。決算期変更はいずれも1年決算を3ヶ月と9ヶ月に分ける方法で、翌年度には通常の決算に戻しています。

キーエンスが決算期変更をする理由、それは「減税メリットの享受」です。これについては、「決算期変更のメリット」で見ていきましょう。

決算期変更のメリット

決算期の変更には、どの様なメリットが有るのでしょうか。以下で見ていきましょう。

法人税率の引き下げをタイムリーに受ける事が出来る!

ここ数年、税制改正がある度に法人税率の引き下げが行われています。

法人税率の推移

(参照元:財務省「法人税率の推移」)

そして、法人税率が引き下げされる際の特徴として、「平成○年4月1日以降開始する事業年度に適用」という点が有ります。

つまり、減税のメリットを最も長く享受しようと思ったら、3月末決算にしておく必要が有るのです。

決算期が3月以外の会社の場合、法人税率の引き下げに合わせて一時的に決算期を3月決算にすれば(元の決算に戻す必要は別に無いですが)減税のメリットを最大限享受出来ます。

ちなみに、上述したキーエンスは3月20日決算です。決算日が末日でない会社はそもそも珍しいですが、3月20日というのは減税のメリット享受という意味ではかなり不利ですね。新しい税率が適用されるのは、3月決算の会社と比べると約1年遅れる事になります。

そこで、キーエンスは一旦6月20日決算に変更する事で、減税メリットを早く享受出来る様にしている、という訳です。上場会社が年に2回も決算を行うのは結構大変な事ですよね。経理の負担は増えますし、監査法人に支払う監査報酬も増えます。

しかし、それ以上に減税のメリットが大きいのでキーエンスは積極的に決算期変更をしているのです。

参考:キーエンスは売上3,000億円規模の会社で上場会社の中では決して大きな会社では有りません。しかし、他の上場会社と比べると納税額はかなり多いです(平成27年3月期は652億円・・・有価証券報告書より)。

著しい業績変動時に威力を発揮!

減税のメリットを享受する以外のメリットとしては、「利益の急増が予想されるときに対応出来る事」が挙げられます。

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例えば、翌月から利益の急増が見込まれている場合、敢えて今月末で決算を締めてしまうのです。そうすると、翌月から新しい事業年度が始まるので役員報酬(定期同額給与)の改定が出来る様になります。

また、それ以外にも有効な節税策を翌決算までじっくりと1年間考える事が出来るのです。

このように、急激に利益が出そうなときに決算期変更する事で柔軟な対応が出来る、というメリットが有りますね。

なお、思った様に業績が振るわない場合でも決算期の変更は有効です。業績が良くないと予想される場合は、決算期を前倒しにして、高く設定しすぎた役員報酬額を低く戻す事が出来る様になります。

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決算期変更のデメリットや注意点

では、決算期を変更する事のデメリットにはどの様なものが有るでしょうか。

納税のタイミングが早くなる

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決算期を変更するという事は、変更した期は事業年度が1年よりも短くなるという事です。従って、本来であればまだ先だった納税のタイミングが前倒しで到来する事になります。

早いタイミングで納税資金が必要となるので、資金繰りに注意が必要ですね。

税理士への報酬が発生

決算期を変更すると、確定申告をするタイミングが早くなりますよね。そうすると、一般的な税理士の場合、毎月の顧問報酬+決算報酬(申告書作成料)を支払う契約になっているでしょうから、決算報酬部分が前倒しで発生する事になります。

この場合、例えば3ヶ月決算になったとしても「3ヶ月しか無いから、決算報酬もいつもの4分の1で良いですよね」とは通常なりません。恐らくは、従来と同じ料金を請求される事になるでしょう。

決算が短いからといって、申告書の作成課程が変わる訳では無いですからね・・・(中には値引きしてくれる税理士もいるでしょうけどね。)

会計ソフトが決算変更に未対応!?

最近の会計ソフトは、使い勝手がよく機能面でも充実しているものが多いです。しかし、それでも事業年度途中で行う決算変更に対応していないソフトが有ります。

決算期変更に対応していないソフトの場合、便利な機能の1つである「対前期比較」が出来なくなってしまうので、不便ですね・・・。

決算期変更の手続き

決算期の変更をするには、株主総会の特別決議により定款の変更をしなければなりません(会社法第309条第2項・466条)。

参考:一度決算変更をすると、勝手に決算期が元に戻るという事は有りません。変更後の決算期が将来にわたって適用されます。

株主総会

定款を変更するのは、大企業だと結構大変なイベントですが中小企業の場合は、臨時株主総会を開催して、作成した議事録を役所に届け出れば完了です。実務上は、株主総会自体開催されず書類だけを作成しているケースも多いでしょう。

なお、決算期の変更は登記事項ではないので、登記費用は不要です。

決算期変更時に残しておく議事録の例と定款の記載内容

決算期を変更する場合、株主総会で決議した内容を議事録として残し、決議内容に沿って定款の変更をする必要が有ります。

まず、株主総会の議事録は以下の様な感じで作りましょう。

臨時株主総会議事録

(サンプルのダウンロードはこちらから)

なお、合同会社の場合は株主総会議事録の代わりに以下の様な「総社員の同意書」が必要です。株主総会の議事録と比べると、かなりあっさりとしていますね。

決定書

次に、定款ですが、決算期に関しては定款上以下の様な記載がされています(12月決算の場合。)

当会社の事業年度は、毎年1月1日から12月31日までの年1期とする。

これを3月決算に変更する場合は、定款を以下の様に変更すればOKです。

当会社の事業年度は,毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。

定款の変更自体はとても簡単ですね。

決算期変更時に必要な届出

決算期を変更した場合、すみやかに税務署・都道府県税事務所・市町村役場の3ヶ所へ異動届出書を提出する必要が有ります。

税務署に提出する異動届出書は国税庁のホームページから入手出来ますが、都道府県税事務所や市町村役場に提出する異動届出書は各事務所や役場によってひな形が異なるので、各自で管轄の事務所・役場ホームページから入手する様にして下さい。

なお、異動届出書には株主総会の議事録と変更後の定款のコピーを添付する様にしましょう。

まとめ

いかがでしたか?決算期の変更が節税に繋がるケースも有る、という事が分かりましたね。今まで、決算期変更なんて考えた事も無いという方は多いでしょう。

これを機に、決算変更の必要性について一度検討してみてはどうでしょうか?

ちなみに、決算月にはオススメのタイミングが有ります。そちらも一度チェックしておいた方が良いでしょう。

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