年に1回の確定申告と年末調整。税金の計算をする際に自分がどの所得控除(配偶者控除や社会保険料控除etc)をいくら受けられるのかきちんと把握していますか?
所得控除は自分で申告する必要が有るので、何もせずに放っておくと税金が無駄に高くなってしまいますよ!
ここでは、個人の所得から差し引く事の出来る所得控除の種類や控除金額、適用条件などを簡易的にまとめています。目次から自分の知りたい所得控除をクリックしてチェックして下さい。
個人の所得控除の種類一覧
所得税法上、個人の所得合計から差し引き出来る所得控除は、以下の14種類です。(所得税法第72条〜86条)
なお、国内に住所がない非居住者(※)の場合、受けられる所得控除は「雑損控除・寄付金控除・基礎控除」の3つだけです。
※:国内に「住所(生活の本拠)が無い」又は「現在まで引き続き1年以上居所」が無い」方のことをいいます。(参照元:国税庁「タックスアンサー 居住者と非居住者の区分」)
所得控除の余りはどうなる?
税金は、総所得金額から所得控除を控除して残った額に対してかかってきます。しかし、「総所得金額から所得控除の合計額を引いたらマイナスになった」ということも有り得ますよね。
その時はどうすればいいのでしょうか。
この点、所得控除は差し引く所得の順番が以下の様に決まっています(所得税法第87条第2項)。
- 1:総所得金額
- 2:土地等に係る事業所得等の金額
- 3:特別控除後の分離短期譲渡所得の金額
- 4:特別控除後の分離長期譲渡所得の金額
- 5:分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額
- 6:一般株式等に係る譲渡所得等の金額
- 7:上場株式等に係る譲渡所得等の金額
- 8:先物取引等に係る雑所得等の金額
- 9:山林所得金額又は退職所得
従って、総所得金額から差し引く事が出来なかった余り分については、その他の所得から順次控除していく事になるのです。なお、それでも所得控除が余った場合は、課税所得金額が無いので所得控除は使い切れなかった事になります。残念ながら使い切れなかった所得控除は翌年以降に繰り越す事は出来ません。
但し、例外が有ります。
所得控除は「雑損控除を一番に消化する(それ以外の順序は決まり無し。)」という決まりが有るのですが(所得税法第87条)、雑損控除の額がその年の総所得金額及びその他の所得合計よりも大きい場合は、差額を翌年以降3年間繰り越しして、各年分の所得金額から差し引く事が可能なのです。
これを雑損失の繰越控除と言います(所得税法第71条)。
従って、所得控除の中で雑損控除だけは翌年以降に繰り越せる可能性が有る、という事ですね。
所得控除の要件によく出て来る「生計を一にする」とは?
以下で随時出て来ますが、所得控除の要件には「生計を一にする(若しくは「同一生計」)」という文言が頻繁に登場します。
生計を一にするとはどういうことなのでしょうか?
この点、国税庁のホームページでは「日常の生活の資を共にすること」と書かれています(参照元:国税庁「生計を一にする」)。これだけだと少し分かりにくいので、もう少し見てみましょう。
「同一生計」と聞くと、一緒に住んでいる事が前提の様な気がしますよね。しかし、必ずしも同居が必要という訳では有りません。
会社員や公務員の方が、仕事の都合で家族と別居している場合(単身赴任)や、子供が学校に通う為に一人暮らしをしている、病気の療養の為に長期入院している、といった場合でも生計を一にしていると考える事が出来るのです。
但し、この場合は以下の条件を満たしていなければなりません。
- 生活費や学費、病院の治療費などを常に送金している
- 都合により普段は別居しているが、仕事や学校が休み(長期休暇等)になると戻って来て一緒に生活をしている
従って、例えば親から学費や仕送りを貰っている子供でも、「生計が一」と言えるという事ですね。
参考:子供と同居していて子供の合計所得が38万円以上(年収103万円以上)ある様な場合、扶養控除等は所得制限により受ける事が出来ません。但し、それと「生計を一」とは別なので、所得制限の無い医療費控除等は適用可能です。
雑損控除
雑損控除は、「災害・盗難・横領」によって資産に損害を受けた際に受ける事が出来る控除です(所得税法第62条)。
雑損控除の要件
雑損控除を受ける事が出来る資産は、以下の条件を満たすものに限られています。
- 資産の所有者が「納税者」若しくは「納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等(※1)が38万円以下の者」
- 「棚卸資産・事業用固定資産等・生活に通常必要でない資産(※2)」のいずれにも該当しない資産
※1:総所得金額等=「純損失・雑損失・その他各種損失の繰越控除後の総所得金額」+「特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額」+「株式等に係る譲渡所得等の金額」+「上場株式等に係る配当所得の金額」+「先物取引に係る雑所得等の金額」+「山林所得金額」+「退職所得金額」
※2:趣味や娯楽・鑑賞目的で保有する不動産やゴルフ会員権、1個又は1組の価額が30万円超の生活に通常必要ない貴金属や書画・骨董品などの動産。
また、雑損控除の対象となる損害の原因は、以下のものに限られます(所得税法施行令第9条)。
- 自然現象の異変による災害(震災・風水害・冷害・雪害・落雷など)
- 人為による異常な災害(火災・火薬類の爆発など)
- 生物による異常な災害(害虫など)
- 盗難
- 横領
注:詐欺や恐喝は対象外です。
雑損控除の金額
雑損控除の金額は、以下の2つのうちいずれか大きい方の金額です(所得税法第72条)。
- 差引損失額−総所得金額等×10%
- 差引損失額のうち災害関連支出の金額−5万円
なお、それぞれの項目の意味は以下の通り。
災害関連支出の金額
災害により滅失した住宅や家財などの取り壊し又は除去に必要な金額。
差引損失額
差引損失額は「損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額−保険金などにより補填される金額」により計算します。
なお、損害金額は損害を受けたときの資産の時価です。購入価格ではないので注意が必要ですね。
⇒国税庁「雑損控除における「損失額の合理的な計算方法」
また、上記計算式の中にある「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」は、「災害関連支出の金額」に盗難や横領による損害の原状回復に必要な金額を加えたものです。
雑損控除を受けるには
雑損控除を受けるには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載し、「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」の領収書等を添付して税務署に提出するか、提出時に提示しなければなりません。
参考:給与所得が有る方は、源泉徴収票も添付する必要が有ります。
なお、雑損控除は年末調整で受ける事が出来ないので、確定申告が必要です。
医療費控除
医療費控除とは、納税者が医療費を払った際に受ける事が出来る控除です。
医療費の要件
医療費控除の対象となる医療費は、以下の要件を満たしたものに限られます(所得税法第73条)。
- 納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費
- その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費
注:実際に支払った金額が対象となるので、「平成29年の12月に治療を受けたけど支払をしたのは平成30年の1月」という様な場合は、平成30年の医療費として扱われます。
対象となる医療費
医療費控除の対象となる医療費は、以下の様なものです(所得税法施行規則第40条の3)。
- 医師・歯科医師による診療又は治療の費用(健康診断費用※や医師等への謝礼金などは原則対象外)
- 治療又は療養に必要な医薬品の購入代金(風邪薬等は対象、ビタミン剤など健康増進の為のものは対象外)
- 病院等へ収容される際に支払った人的役務の提供の対価
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(疲れを癒したり体調を整えるといった、治療に直接関係無いものは対象外)
- 保険師や看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(心付けなどは対象外、家族等に付添いを頼んでお金を払うのも対象外)
- 助産師による分娩介助の対価
- 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養の対価
- 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
- 通院費(ガソリン代や駐車料金は対象外)、医師等の送迎費、入院時の部屋代や食事代、コルセット等の医療用器具の購入代金や賃借代
- 義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用
- おおむね6ヶ月以上寝たきりで治療を受けている際に使うおむつ代(医師による「おむつ使用証明書」が必要)
- 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
- 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
- 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金
※:人間ドックや健康診断の費用は病気の治療を行うものではないので、原則、医療費控除の対象外です。但し、健康診断等の結果、重大な病気が発見され、かつ、その後引き続き病気の治療を行った場合には、その健康診断等は治療に先立って行われる診察と同様に考えられるので、健康診断費用も医療費控除の対象になります。メタボリックシンドロームに係る特定健康診査に係る費用についても同様です。
医療費控除の金額
医療費控除の金額は、以下の計算式で算出した金額(最高200万円)です。
なお、保険金等で補填された場合、給付の目的となった医療費の金額が差引される限度額です。引ききれなかった金額があったとしても、他の医療費から引く必要は有りません。
この場合、足の手術に係る医療費は保険金と相殺されてゼロになります。保険金の方が5万円多いですが、これはその他の医療費13万円から差し引く必要は有りません。従って、医療費控除の金額は3万円(13万円−10万円)となります。
計算式を見ると、支払った金額から10万円を引く事になっているため、「医療費を10万円未満の場合は医療費控除が受けられない」、と思っている方がいる様です。しかし、総所得金額等が200万円未満の方については、10万円ではなく「総所得金額等の5%」を引く事になります。
従って、所得の金額によっては医療費が10万円以下でも医療費控除を受ける事は可能です。
医療費控除を受けるには
医療費控除は年末調整で受ける事が出来ません。従って、給与所得者の方も医療費控除を受ける場合は確定申告が必要となります。
確定申告の際には、申告書に医療費控除に関する事項を記載すると共に、医療費の支出を証明する書類(領収書等)を添付するか提示しなければなりません。
確定申告の時期になって1年分を集計するのは大変ですから、日頃から医療費の領収書は大事に保管しておいた方が良いでしょう。
平成29年からセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が始まった!
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間、人間ドッグや予防接種など健康の保持・増進等の為に「一定の取組」をしている方が、薬局やドラッグストアで特定一般用医薬品等(※)を購入した場合に、1万円2千円を超える金額(最高8万8千円)を医療費控除の金額とする事が出来ます(上記の医療費控除との選択適用。)
※:医師によって処方される医薬品の他に、ドラッグストアに売っているOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)も含む。スイッチOTC医薬品の対象品目は、厚生労働省のホームページで公開されています。
(参照元:租税特別措置法第41条の17の2)
セルフメディケーション税制を受けるには、該当事項を確定申告書に記載した上で、特定一般用医薬品等を購入した際の領収書等添付して税務署に提出するか提示をしなければなりません。
また、健康促進の為に行った一定の取組を証明する書類(予防接種の領収書や健康診断の結果通知等 ※)も提出する必要が有ります。
※:コピー可。検診等の結果部分は不要なので、結果部分を黒塗りした上で提出しても構いません。
セルフメディケーション税制によって、今まで若い方にあまり縁の無かった医療費控除が身近になるかもしれないですね。
社会保険料控除
社会保険料控除は、納税者の方が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき社会保険料を支払った場合に受けられる控除です。
社会保険料控除の対象
社会保険料の控除対象には、主に以下の様なものが有ります。
- (国民)健康保険料
- 後期高齢者医療保険料
- (国民・厚生)年金保険料
- 介護保険料
- 雇用保険料
- (国民・厚生)年金基金の掛金
- 公務員共済の掛金
(参照元:国税庁「タックスアンサー 社会保険料控除」・所得税法第74条第2項)
社会保険料控除の金額
社会保険料控除として控除出来る金額は、「その年中に実際に支払った金額」又は「給料や公的年金から差し引かれた金額」の全額です。
つまり、過去の分でも本年中に払ったのであれば社会保険料控除の対象となる、という訳ですね。逆に未払いになった場合はその年の社会保険料控除の金額に含める事は出来ないです。
注:生計を一にする配偶者やその他の親族の年金から特別徴収(引き落とし)されている国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料については、扶養親族だったとしても控除に使う事は出きません。逆に言えば、家族の社会保険料を自分が支払った場合には控除できるという事です。
社会保険料控除を受けるには
社会保険料控除を受けるには、確定申告書に該当金額を記載すればOKです。
但し、国民年金及び国民年金基金の掛金については、支払を証明する書類を確定申告書(年末調整を受ける方は給与所得者の保険料控除申告書)に添付して提出するか提示しなければなりません。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、納税者が小規模企業共済等の掛金を支払った際に受けられる所得控除です。
小規模企業共済等掛金控除の範囲
小規模企業共済等掛金の対象となる掛金には、以下の3つがあります。
- 小規模企業共済の掛金
- 企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
- 心身障害者扶養共済制度の掛金
(参照元:所得税法第75条第2項)
小規模企業共済等掛金控除の金額
小規模企業共済等掛金控除として控除出来るのは、その年に支払った掛金全額です。
なお、社会保険料の場合と違って、本来家族が負担すべきものを自分が払ったとしても、小規模企業共済等掛金控除の金額は自分の所得控除として利用する事はできません。
小規模企業共済等掛金控除を受けるには
小規模企業共済等掛金控除を受けるには、確定申告書(給与所得者の場合は、給与所得者の保険料控除申告書)に該当金額を記載すると共に、支払った掛金の証明書を添付して提出するか提示しなければなりません。
生命保険料控除
生命保険料控除は、納税者が「生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料」のいずれかを支払った際に受ける事が出来る控除です。
生命保険料控除については、平成24年1月1日以降に締結した契約(新契約)なのか、平成23年12月31日以前に締結した契約(旧契約)なのかによって扱いが異なります。
生命保険料控除の範囲
生命保険料控除の対象となる保険契約は「生命保険契約等・介護医療保険契約等・個人年金保険契約等」です(所得税法施行令第208条の3~212条)。
生命保険契約等
生命保険契約等とは、以下の様な契約のうち、「保険金等の受取人の全てをその保険料等の払込をする方若しくはその配偶者その他の親族とするもの」をいいます。
- 生命保険会社等と契約した生命保険等
- 旧簡易生命保険と締結した生命保険等
- 農業協同組合等と締結した生命共済等
- 確定給付企業年金に係る規約又は適格退職年金契約
なお、旧契約は上記の他に「医療保険」も生命保険等として扱います。
介護医療保険契約等
介護医療保険契約等とは、平成24年1月1日以降に締結した以下の様な契約のうち、「保険金等の受取人の全てをその保険料等の払込をする方若しくはその配偶者その他の親族とするもの」です。
- 生命保険会社や損害保険会社との間で締結した、疾病又は身体の傷害等による医療費の支払事由に起因して保険金等が支払われる契約
- 旧簡易生命保険契約又は生命共済契約等のうち、疾病又は身体の傷害等による医療費の支払事由に起因して保険金等が支払われるもの
なお、上記の契約でも保険期間が5年未満のいわゆる貯蓄保険・貯蓄共済は対象外となります。
個人年金保険契約等
個人年金保険契約等とは、年金を給付する定めのある保険契約等で、以下の条件を満たすものです。
- 年金の受取人が、保険料負担者又はその配偶者
- 保険料の払込期間が10年以上
- 年金の支払は受取人が原則60歳以上になってから開始される
- 10年以上の定期年金または終身年金
なお、旧契約の場合は「年金を給付する定めの有る生命保険契約」のうち上記の条件を満たすものが対象となります。
こんな場合、生命保険料控除は受けられる?
妻が契約者の生命保険契約について夫が保険料を払っている様な場合、夫は生命保険料控除を受ける事が出来るのでしょうか?
この点、生命保険料控除の対象となる保険契約は、契約者が誰かという点を問題にしておらず、受取人が誰かを重視しています。従って、この様なケースでも受取人が妻や夫その他の親族の場合は、生命保険料控除を受ける事が出来ますね。
参考:年の途中で離婚した場合、離婚前まで夫が保険料を支払っていた受取人が妻の保険については、離婚後は生命保険控除の対象となりません。但し、離婚後に受取人を子供に変更した場合、子供の為に払った期間分の生命保険料控除は受ける事が出来ます。
また、年の途中で保険を解約し解約一時金を受け取った場合でも、解約までに支払った保険料については生命保険料控除を受ける事が出来ます。なお、解約一時金は支払保険料の金額から差し引く必要はないですが、一時所得の対象になるので注意が必要です。
(参照元:国税庁「タックスアンサー 生命保険料控除」)
生命保険料控除の金額
生命保険料控除の金額は、「新契約か旧契約か」によって以下の様に異なります。
なお、各控除額の合計額が生命保険料控除の金額になりますが、上限は12万円です。
平成24年1月1日以降に契約した場合(新契約)の控除額
新契約の場合、「新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料」のそれぞれについて、以下の計算式を使って控除額を計算します。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
参考:支払保険料等とは「その年に支払った保険料からその年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた金額」のことです。
平成23年12月31日以前に契約した場合(旧契約)の控除額
旧契約の場合、「旧生命保険料・旧個人年金保険料」のそれぞれについて、以下の計算式を使って控除額を計算します。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料等全額 |
25,000円超50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
新契約と旧契約の両方に加入している場合の控除額
新契約と旧契約の両方に加入している方は、以下のいずれか有利になるものを選択して控除を受ける事が出来ます。
適用する生命保険料控除 | 控除額 |
---|---|
新契約のみ | 新契約の計算方法によった場合の控除額 |
旧契約のみ | 旧契約の計算方法によった場合の控除額 |
両方の契約 | 両方の計算方法で計算した控除額の合計額 (最高4万円) |
生命保険料控除を受けるには
生命保険料控除を受けるには、確定申告書の該当箇所に記載すると共に、確定申告書(給与所得者の場合は、給与所得者の保険料控除申告書)に保険会社等から送られて来る証明書類を添付して提出するか提示しなければなりません。
参考:旧契約で年間保険料が9千円以下の場合は、証明書の添付や提示は不要です(所得税法施行令第262条第1項5号)。
地震保険料控除
地震保険料控除は、納税者が損害保険(地震保険に関する部分)を払った際に受ける事の出来る控除です(所得税法第77条)。
地震保険料控除の範囲
地震保険料控除の対象になるのは、火災保険等で地震による損害によって生じた損失をカバーする契約です。
なお、平成18年の税制改正によって平成19年分以降は損害保険料控除が受けられなくなりました。しかし、経過措置として以下の条件を満たす長期損害保険契約については、地震保険料控除の対象となります。
- 平成18年12月31日までに契約を締結している
- 満期返戻金等が有る契約で保険期間又は共済期間が10年以上
- 平成19年1月1日以降に契約内容を変更していない
(参照元:国税庁「地震保険料控除に関する経過措置」)
地震保険料控除の金額
地震保険料控除の金額は、「地震保険料」か「旧長期損害保険料」かによって以下の様に異なります。
地震保険料の控除額
年間の支払保険料の合計 | 控除額 |
---|---|
5万円以下 | 支払金額 |
5万円超 | 5万円 |
旧長期損害保険料の控除額
年間の支払保険料の合計 | 控除額 |
---|---|
1万円以下 | 支払金額 |
1万円超2万円以下 | 支払金額÷2+5千円 |
2万円超 | 1万5千円 |
なお、地震保険料と旧長期損害保険料の両方が有る場合は、それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)が控除額となります。
注:1つの保険契約で、地震保険料と旧長期損害保険料の両方を払っている場合は、納税者がどちらの控除を受けるのか決める事が出来ます。
地震保険料控除を受けるには
地震保険料控除を受ける場合、確定申告書(給与所得者の場合は、給与所得者の保険料控除申告書)の地震保険料控除の欄に記載すると共に、支払金額等が記載された証明書を添付して提出するか提示しなければなりません。
寡婦(夫)控除
寡婦控除は、納税者自身が寡婦のときに受ける事が出来る控除です。
寡婦(夫)の要件
「寡婦」とは12月31日時点で以下のいずれかの条件に当てはまる人をいいます。
- 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子(※)がいる
- 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下
※:総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人。
なお、寡婦の中でもさらに以下の条件を満たす人は「特定の寡婦」となります。
- 夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
- 扶養親族である子がいる
- 合計所得金額が500万円以下で。
一方で、「寡夫」は12月31日時点で以下の条件を全て満たす人です。
- 合計所得金額が500万円以下
- 妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人
- 生計を一にする子(※)がいる
※:総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人。
(参照元:所得税法施行令第11条・第11条の2)
寡婦(夫)控除の金額
寡婦(夫)控除の金額は以下の通りです。
区分 | 控除額 |
---|---|
寡婦控除 | 27万円 |
特定の寡婦控除 | 35万円 |
寡夫控除 | 27万円 |
寡婦(夫)控除を受けるには
寡婦(夫)控除を受ける際に、特に添付が必要となる書類は有りません。確定申告書の該当欄にチェックを付けて金額を記入しましょう。
なお、給与所得者の場合は「給与所得者は給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にある「主たる給与から控除を受ける障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」欄の該当する箇所に○をすればOKです。
障害者控除
障害者控除は、納税者自身や控除対象配偶者、扶養親族が障害者の場合に受けられる控除です。
参考:扶養控除は16歳未満の扶養親族に適用されないですが、障害者控除は16歳未満の扶養親族にも適用可能です。
障害者控除の適用範囲
障害者控除の対象となる障害者には「障害者」と「特別障害者」とが有ります。
障害者の要件
「障害者」は、12月31日時点で以下のいずれかに該当する方の事です。
- ①児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人
- ②精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳(1級以外)の交付を受けている人
- ③身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳(1・2級以外)に、身体上の障害がある人として記載されている人
- ④精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が①又は③に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
- ⑤戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人
- ⑥療育手帳(※)の交付受け、表示されている傷害の程度が「B又はC」の人
※:「愛の手帳」や「みどりの手帳」、「愛護手帳」などの様に自治体によって呼び方が異なる事も有ります。
(参照元:所得税法第79条・所得税法施行令第10条)
特別障害者の要件
一方で、「特別障害者」は12月31日時点で以下のいずれかに該当する方の事をいいます。
- ①常に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にある人
- ②児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、重度の知的障害者と判定された人
- ③精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている人
- ④身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳(1級又は2級)に、身体上の障害がある人として記載されている人
- ⑤精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、特別障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
- ⑥戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人のうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人
- ⑦原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人
- ⑧その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人
- ⑨療育手帳の交付受け、表示されている傷害の程度が「A」の人
(参照元:所得税法第79条・所得税法施行令第10条)
障害者控除の金額
障害者控除の金額は以下の通りです。なお、控除対象配偶者や扶養親族が障害者の場合は、障害者の人数分控除を受ける事が出来ます。
区分 | 控除額 |
---|---|
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |
「同居特別障害者」とは、特別障害者である控除対象配偶者や扶養親族のうち、納税者本人・配偶者・生計を一にする親族のいずれかと「同居を常としている(※)」方の事です。
※:老人ホームなどに入居している場合、同居を常としているとはいえないので、同居特別障害者とはなりません。
障害者控除を受けるには
障害者控除を受けるには、確定申告書に障害者事項に関する事項を記載すればOKです。なお、申告書の提出に当たって証明書等の添付は必要有りません。
但し、後日税務署が役所等に障害が有る事について間違いないかを確認する様ですね。
給与所得者の場合は、扶養控除等(異動)申告書に障害者に該当する人及び傷害の状況を記載すればOKです。
寄附金控除
寄附金控除は、納税者が国や地方公共団体等に対して「特定寄附金」を支払った際に受ける事が出来る控除です(所得税法第78条)。
参考:政治活動に関する寄附金、認定NPO法人・公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものは、所得控除の代わりに税額控除を受ける事が出来ます。(関連記事:個人の税額控除の種類と所得控除との違い)
寄附金控除の対象となる「特定寄附金」とは?
寄附金控除の対象となる特定寄附金には、以下の様な内容及び対象先が有ります。
- 国、地方公共団体に対する寄附
- 公益社団法人や公益財団法人等のうち、財務大臣が指定したもの
- 自動車安全運転センターや日本司法支援センター、社会福祉法人など、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるもの
- 特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭
- 政治活動に関する寄附金のうち一定のもの
- 認定特定非営利法人等(いわゆる認定NPO法人等)
- 特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円が限度。)
なお、学校に入学する際に支払う寄附金は特定寄附金には該当しません。また、菩提寺の改修工事の為に寄附をした様な場合、これが財務大臣の指定を受けたもので、特定寄附金に該当するのであれば寄附金控除の対象になりますが、それ以外の場合は対象外です。
(参照元:国税庁「タックスアンサー 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」)
寄附金控除の金額
寄附金控除の金額は、以下の「いずれか低い金額-2千円」です。
- その年に支出した特定寄附金の合計
- その年の総所得金額等の40%相当額
寄附金控除を受けるには
寄附金控除を受けるには、確定申告書に寄附金に関する事項を記載した上で、寄附した団体から交付を受けた領収書等と共に税務署に提出するか提示しなければなりません。
勤労学生控除
勤労学生控除は、納税者自身が学生の場合に受けられる控除です(所得税法第82条)。
注:扶養親族が学生だったとしても勤労学生控除は受けられません。
勤労学生控除の範囲
勤労学生控除を受けるには、納税者が12月31日時点で以下の条件を全て満たす必要が有ります。
- ①給与所得などの勤労による所得がある
- ②合計所得金額が65万円以下、かつ、上記勤労による所得以外の所得が10万円以下
- ③特定の学校の学生(生徒)である
なお、③でいう特定の学校とは以下の様な学校を指します(所得税法施行令第11条の3)。
参考:自分の通っている学校が特定の学校に該当するかどうかが分からない方は、通っている学校に問い合わせる様にしましょう。
勤労学生控除の金額
勤労学生控除の金額は27万円です。
勤労学生控除を受けるには
勤労学生控除を受けるには、確定申告書(給与所得者の場合は「扶養控除等(異動)申告書」)に勤労学生に関する事項を記載すればOKです。但し、専修学校や各種学校又は職業訓練学校の生徒の場合は、在学証明書等を添付して提出するか提示しなければなりません。
配偶者控除
配偶者控除は、納税者に配偶者がいる場合に受ける事の出来る控除です。
配偶者控除の要件
配偶者控除を受けるには、配偶者が以下の要件を満たす「控除対象配偶者」である事が必要です。
- 民法上の配偶者である(内縁関係の人は対象外) ※
- 12月31日時点(年の途中で死亡した場合は死亡日)で、納税者と生計を一にしている。
- その年の合計所得金額が38万円以下
- 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないor白色申告者の事業専従者でない
※:年の途中で離婚した場合は、配偶者控除を受ける事は出来ません。
なお、今まで働いて収入の有った妻が妊娠・出産により休暇をとった場合、タイミングによっては配偶者控除の対象となります。
出産育児一時金や出産手当金については健康保険法第62条により非課税となるので、これらの手当は無視して配偶者控除の要件を確かめる様にしましょうね。
参考:育児休暇中に貰える育児休業給付金も非課税なので、配偶者控除の要件を考える際には無視して構いません(雇用保険法第10条・12条・61条の4)。
配偶者控除の金額
配偶者控除は、以下の様に配偶者の年齢によって受けられる金額が異なります。(参照元:所得税法第83条)
区分 | 控除額 |
---|---|
一般の控除対象配偶者 | 38万円 |
老人控除対象配偶者 ※ | 48万円 |
※:12月31日現在の年齢が70歳以上の人
配偶者控除を受けるには
配偶者控除を受けるには、確定申告書(給与所得者の場合は「扶養控除等(異動)申告書」)に配偶者に関する事項を記載すればOKです。特に添付する証明書等は有りません。
平成29年から配偶者控除の所得制限が引き上げ!
上述の様に、配偶者控除は配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与所得者の場合は103万円以下)でなければなりません。
このいわゆる「103万円の壁」により、配偶者の働く時間を制限していたという家庭も多い事でしょう。
しかし、平成29年度税制改正大綱に配偶者控除の見直しが織り込まれ、配偶者の所得制限が引き上げられる事になりました。
その結果、平成30年分以降(平成31年3月に確定申告する分以降)は配偶者の年収が150万円までであれば配偶者控除が受けられる様になります。また、これに併せて配偶者特別控除の上限も年収が141万円から201万円へと引き上げられます。
これで、今までパートなどを制限していた方もよりたくさん働く事が出来ますね。
一方で、納税者の合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除の適用自体が出来なくなるという制限も加わる事になりました。
(参照元:財務省「平成29年度税制改正の大綱」)
配偶者特別控除
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が38万円以下でないと受ける事が出来ません。しかし、その場合でも配偶者の所得に応じて一定の所得控除を受ける事が出来ます。これが配偶者特別控除です。
配偶者特別控除の要件
配偶者特別控除を受けるには、以下の要件を満たす必要が有ります。
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
- 民法上の配偶者である(内縁関係の人は対象外) ※
- 12月31日時点(年の途中で死亡した場合は死亡日)で、納税者と生計を一にしている
- その年の合計所得金額が38万円超76万円未満
- 他の人の扶養親族になっていない
- 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないor白色申告者の事業専従者でない
※:年の途中で離婚した場合は、配偶者特別控除を受ける事は出来ません。
(参照元:所得税法第83条の2)
配偶者特別控除の金額
配偶者特別控除の金額は、その年の配偶者の合計所得金額に応じて以下の様になります。
配偶者の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
〜380,000円 | 0円 |
380,001円〜399,999円 | 38万円 |
400,000円〜449,999円 | 36万円 |
450,000円〜499,999円 | 31万円 |
500,000円〜549,999円 | 26万円 |
550,000円〜599,999円 | 21万円 |
600,000円〜649,999円 | 16万円 |
650,000円〜699,999円 | 11万円 |
700,000円〜749,999円 | 6万円 |
750,000円〜759,999円 | 3万円 |
760,000円〜 | 0円 |
配偶者特別控除を受けるには
配偶者特別控除を受けるには、確定申告書(給与所得者の場合は「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」)に配偶者に関する事項を記載すればOKです。特に添付する証明書等は有りません。
扶養控除
納税者に扶養親族がいる場合に、一定の控除を受けられるのが扶養控除です。
扶養控除の対象範囲
扶養控除の対象になる「扶養親族」は、12月31日時点(※)で以下の4条件を満たしている方です。
※:納税者が年の途中で死亡又は出国(納税管理人の届出をせずに、国内に住所や居所が無くなる事)した場合は、その死亡又は出国の日
- 配偶者以外の親族(※)・里子・市町村長から擁護を委託された老人
- 納税者と生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が38万円以下(収入が給与のみの方は103万円以下)
- その年に青色申告者の事業専従者として給料の支払を受けていないor白色申告者の事業専従者ではない
※:6親等内の血族及び3親等内の姻族
上記の扶養親族の要件を満たした方のうち、扶養控除の対象となるのは12月31日時点での年齢が16歳以上の方です。
扶養控除の金額
扶養控除の金額は以下の通りです(所得税法第84条)。
なお、一般の控除対象扶養親族は「16歳以上」、特定扶養親族は「19歳以上23歳未満」、老人扶養親族は「70歳以上」の人をいいます。
区分 | 控除額 |
---|---|
一般の控除対象扶養親族 | 38万円 |
特定扶養親族 | 63万円 |
老人扶養親族 (同居老親等 ※) | 58万円 |
老人扶養親族 (同居老親等以外) | 48万円 |
※:老人扶養親族のうち、納税者又は配偶者の直系尊属(父母や祖父母)で、常に同居している人をいいます。なお、長期入院による別居は同居と考えて問題ないですが、老人ホーム等に入所している場合は同居とはいえません。
扶養控除を受けるには
扶養控除を受けるには、確定申告書(給与所得者の場合は「扶養控除等(異動)申告書」)に扶養親族に関する事項を記載すればOKです。特に添付する証明書等は有りません。
基礎控除
基礎控除は、特段適用条件が無く誰でも等しく受けられる控除です。控除金額は一律38万円となっています。
全員に認められる所得控除なので、税務署から送られて来る確定申告書の基礎控除欄に、元々38万円が記載されている事も有ります。
国外に住んでいる親族の扶養控除等を受ける場合
国外に住んでいる親族(国外居住親族)についても、以下の所得控除は条件を満たしていれば適用する事が出来ます。
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 障害者控除
しかし、以前から、日本で働く外国人や外国人と結婚した日本人の場合、「扶養控除等の金額が非常に高くなり所得税の課されないケースが多い」という問題が有ります。
日本と比べて物価の安い国の場合、所得条件を満たす親族が非常に多くなりますし、その扶養親族の所得状況や実際に仕送りをしているかなどを日本の役所で調べるのは困難だからですね。
そこで、平成28年分の所得税から、国外居住親族に関して上記の控除を受ける場合は、「親族関係書類(※1)」と「送金関係書類(※2)」を確定申告書に添付しなければならない事になりました。
※1:納税者の親族である事を証明する書類(戸籍の扶養の写しや外国政府等が発行した国外居住親族の氏名・生年月日・住所等が分かるもの)
※2:国外居住親族の生活費や教育費に充てるための送金をしている事が分かる書類
(参照元:所得税法第120条第3項2号)
所得税と住民税の所得控除は違う?
所得税の確定申告をすれば住民税の申告をしなくても、役所が住民税の計算をしてくれます。その為か、住民税の所得控除について知らない方が多い様ですね。
実は、所得税の所得控除と住民税の所得控除とでは、計算方法や控除金額が微妙に異なるものが有るのです。
以下で、それぞれの方法を一覧にしてみましょう(参照元:地方税法第34条・304条の2)。
なお、「雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除」については所得税と住民税とで差が有りません。
項目 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
生命保険料控除 | 最高12万円 | 最高7万円 |
地震保険料 | 最高5万円 | 最高2万5千円 |
障害者控除 | (一般)27万円 (特別)40万円 (同居特別)75万円 | (一般)26万円 (特別)30万円 (同居特別)53万円 |
寡婦(夫)控除 | (寡婦・寡夫)27万円 (特別の寡婦)35万円 | (寡婦・寡夫)26万円 (特別の寡婦)30万円 |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 |
扶養控除 | (一般)38万円 (特定)63万円 (老人)48万円 (同居老親)58万円 | (一般)33万円 (特定)45万円 (老人)38万円 (同居老親)45万円 |
配偶者控除 | (一般)38万円 (老人)48万円 | (一般)33万円 (老人)38万円 |
配偶者特別控除 | 最高38万円 | 最高33万円 |
基礎控除 | 一律38万円 | 一律33万円 |
全体的に住民税の控除が少なめになっている事が分かりますね。
最後に
いかがでしたか?色々な控除項目が有りましたね。所得控除の金額は大きいに越した事が有りません。
年末調整の資料や申告書の該当する項目に記入しなければ控除は受けられないので、面倒でもきちんと書く様にしましょうね。
⇒【保存版】個人の所得税の計算の流れ~税率や所得控除の内容も分かる!
なお、ここで紹介した税務署への提出書類は、書面で確定申告書を提出する場合の話です。e-Taxで確定申告書を提出する場合は、必要事項を入力すれば提出を省略する事が出来ます。但し、その場合は申告期限から5年間、証明書類等を保管しておかなければならないという点を忘れずに。