複数の預金口座

法人を設立したら、何よりもまず法人名義の銀行口座をつくる事が必要です。

売上の入金口座や経費の支払い口座として法人名義の口座が必要ですからね。法人設立まもない時期の口座開設は、審査が厳しく開設までに1〜2週間程度かかる事もざらに有るので、早い段階で口座開設の申込をした方が良いでしょう。

新設法人が銀行口座を開設する時のポイント・必要書類など

では、法人口座を作るとして口座は1つで良いのでしょうか?それとも複数の口座を開設した方が良いのでしょうか?

ここでは、法人の銀行口座を複数開設する事のメリットやデメリットについて見ていきましょう。

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そもそも複数の口座を持つ事は可能?

疑問

銀行口座を複数持つメリットやデメリットを見る前に、そもそも複数の銀行口座を開設する事が出来るのでしょうか?

この点、同一銀行(特に同一支店)で1つの法人が複数の口座を開設する事は、合理的な理由がない限り基本的には出来ません(要は担当者や責任者がOKといえば作る事は可能)。

参考:普通預金以外の定期預金や定期積金といった別預金の口座を作るのであれば、同一支店でも可能です。

また、口座を開設出来る支店は「法人の主たる事務所(若しくは本店所在地)が有る場所から最寄の支店」です(遠隔の支店を希望した場合は、合理的な理由がない限り断られます。)

こういった制限があるのは、「法人名義の口座が犯罪(投資勧誘詐欺や振り込め詐欺、マネーロンダリング等)に利用される事が多い」、「むやみに口座を増やすと休眠口座となる可能性が高い」といった理由によるものの様ですね。

参考ジャパンネット銀行楽天銀行の様に、ネット銀行の場合は「同一法人で最大20口座まで開設可能」というケースも有ります。

但し、これは同一銀行での話なので、異なる銀行であれば銀行口座はいくつでも作る事が出来ます

複数口座を持つメリット

法人で銀行口座を複数持つ事には、どの様なメリットが有るのでしょうか?以下で見ていきましょう。

融資の可能性が広がる

融資

金融機関は融資の際に会社の業績を見て審査をしますが、過去にその金融機関との取引がない会社に対しては基本的に融資をしません。これは、取引をしていないとその会社がどういう会社なのかが分からないからですね。

なお、ここでいう取引には、預金口座を開設しているという事から始まり、定期預金や定期積金、カードローン、銀行系クレジットカードを作っているなど様々なものが含まれます。

しかし、まず預金口座を開設しない事には金融機関との取引は始まりません。そういう意味では、複数の銀行口座を開設しておけば、「いざというときに融資をしてくれる銀行を見つけやすい」というメリットが有りますね。

資金使途毎に管理が出来る

資金の管理

銀行口座が1つしかない場合、その口座で全ての取引を管理しなければいけません。

しかし、口座が複数あれば取引先毎に預金口座を分けたり借入返済口座、家賃・光熱費口座、給料口座等の様に資金使途毎に口座を分ける事が出来ます。

例えば、どれか1つの口座を売上入金口座にして、そこからそれぞれの口座に振り分けるスタイルにすれば、資金管理がし易くなりますね。

振込手数料の節約!

手数料の節約

複数の銀行口座があれば、振込手数料の節約が可能です。どういう事かというと、複数の業者に毎月支払いが有る場合、それぞれの業者の振り込み口座が自分の会社が使っている銀行と同じとは限らないですよね。

振込手数料は、振込み先の銀行や支店によって異なり、「同一銀行・同一支店<同一銀行・別支店<他銀行」の順に高くなります。複数口座有れば、支払いの際に振込手数料の安い口座を選ぶ事が出来るので、手数料の節約が可能なのです。

また、得意先から売上金が振込まれる際にも、複数口座有れば得意先が振込手数料の安くなる口座を選ぶ事が出来るので、喜ばれますよ。

参考:最近は「ウェブフリコム」や「Bankur(バンクル)」の様に、振込手数料固定の振込代行サービスも有るので、そういったサービスを利用して振込手数料を削減する事も可能です。

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銀行の倒産リスクに備える(ペイオフ対策)

銀行の破綻

平成17年4月のペイオフ(本格)解禁により、金融機関が破綻した場合に、預金者は元本1,000万円とその利息までしか保証されなくなりました(参照元:預金保護機構)。

参考:決済用預金(当座預金・利息の付かない普通預金等)については、全額保護されます(参照元:金融庁「預金保険制度」)。

つまり、会社のお金を1つの銀行に全て預け入れてしまうと、銀行が破綻した際に預金口座が凍結されたりお金が戻って来なくなったりしてしまう可能性が有るのです。

複数の口座を作ってお金を分けておく事で、金融機関の破綻リスクを軽減する事が出来る、という訳ですね。

なお、補足ですが、ペイオフが解禁してから現在(2017年7月)までにペイオフが発動したのは、2010年9月に起きた日本振興銀行の破綻時のみです。

複数口座を持つデメリット

では、法人の銀行口座を複数持つ事のデメリットにはどの様なものが有るのでしょうか。

管理が面倒

管理が大変

メリットのところで書いた様に、銀行口座を資金使途毎に分けるとお金の管理自体はし易くなるでしょう。

しかし、複数の口座を管理するのは結構大変です。まず、複数の銀行口座を持つとそれだけ通帳やキャッシュカードなどが増えるので、管理が大変ですね。それに、記帳をするのにも銀行巡りをしないといけないので手間です。

また、それぞれの口座に必要十分なお金が入っているのであれば良いですが、例えば「A口座から支払いをしようと思ったけど、残高が足りない!」となると、B口座からA口座にお金を移さないといけません。急ぎの場合などは特に大変ですね。

口座が1つしかなければ、そういった手間はかかりません。従って、余計な手間を省きたい方はメインバンクのみにした方が良いでしょうね。

ネットバンキングの利用料が高い

ネットバンキング

給与や経費の支払いなどまとまった振込が必要な場合は、ATMや窓口で手続をするのが面倒なので、ネットバンキングを利用する方も多いでしょう。

しかし、個人の預金口座でネットバンキングを利用する場合、利用料は無料のケースが多いのですが、法人口座の場合は基本的に月額利用料が発生します(例:三菱東京UFJ銀行は月1,728円、三井住友銀行は2,160円)。

複数の口座を持って、それぞれでネットバンキングを利用するとなると、毎月の手数料だけでも結構な金額になってしまいますね・・・。

最近は、クラウド会計ソフトなど自動で仕訳を切れるソフトもありますが、そういうソフトを有効活用するにはやはりネットバンキングは必須ですしね・・・。

注:住信SBIネット銀行や楽天銀行のように元々がネット専業銀行の場合には、法人口座であってもネットバンキングの手数料はかかりません。

要は大手銀行のこの手数料主義はかなり時代遅れと言っても良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?複数の銀行口座を開設すると、資金管理がし易くなったり振込手数料の節約が出来るといったメリットが有る反面、記帳の手間やネットバンキングの利用料がかさむといったデメリットも有ります。

但し、メリットでも書いた様に、いざというときに融資を受ける道をたくさん作っておきたいというのであれば、実際に口座を使うかどうかはさておき、いくつか別の銀行や信用金庫で口座を持っておいた方が良いでしょうね。

結局のところ、設立後すぐは1口座にしておいて、しばらく経ったらメインバンクとサブでもう1つくらいは口座を作っておく、というのが良いかもしれないですね。それ以降は、銀行や取引先との兼ね合いで決めていくと良いでしょう。

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