マイナンバー

「今の会社からの給料だけだと家計が苦しいから、深夜や週末にバイトをしよう」と考える方は多いでしょう。「本業で足りないから副業で家計を助ける」というのはよく有る事です。

しかし、そもそも会社で副業は許されていますか?

会社で禁止されているのに副業をしてバレると、就業規則違反で処罰(最悪の場合はクビ!)を受ける可能性も有りますよ。

参考:派遣社員や契約社員でも副業が禁止されている事は有ります。また、公務員はそもそも法律で許可無く副業をする事は禁止されています(国家公務員法第103条・104条、地方公務員法第38条)。

特に、2016年1月からマイナンバー制度の運用が始まり、副業がバレるのではないか、とビクビクしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、基本的にマイナンバーが原因で副業が会社にバレる事は有りません!

どういう事なのか、現役の税理士が解説していきます。

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なぜ副業が会社にバレる?

バレる

「副業が会社にバレた!」と困っている人をたまに見かけますが、そもそもなぜ副業をしている事が会社にバレてしまうのでしょうか?

「副業のアルバイト先では給料を手渡しで貰っているし、年間の給料が20万円未満のため確定申告もしなくていいので、会社には絶対にバレないと思っていたのに・・・」という方もいるでしょう。

副業が会社にバレる理由としては、主なものとして以下の3つが考えられます。

  • 確定申告をしていない(無申告)
  • 住民税の通知が会社に届いた
  • 誰かが告げ口した

以下で1つずつ内容を見ていきましょう。

確定申告をしていない(無申告)

サラリーマン等の給与所得者は、メインの給与以外の給与(収入金額)と給与・退職金以外の所得合計が20万円以下であれば確定申告の必要が有りません(参照元:国税庁「タックスアンサー 給与所得者で確定申告が必要な人」)。

逆に言うと、「本業以外で年間20万円超の収入(所得)が有った場合は確定申告をしなければならない」という事です。

注意:20万円以下でも住民税の申告は必要です(関連記事:FXの利益が20万円以下なら確定申告は不要。住民税の申告も不要?

確定申告をする女性

確定申告をする必要が有るのにしないのは、うっかり忘れていたのであればともかく、意図的であれば脱税です。税務調査が入ってそれが明るみに出ると、本来払うべき税金に加えて(重)加算税や延滞税などを払わなければならなくなります。

無申告だった金額によっては、かなりの高額な納税となるケースも有るでしょう。

税務調査が入ったからといってすぐに会社に副業がバレるという訳ではないですが、税金の納付が必要になったのに手元にお金が無くて払えない、という場合はバレる可能性が有ります。

というのも、納税が出来ない場合、「税務署は本業である会社からの毎月の給与を差し押さえる可能性が有る」からです。

会社には働いてくれた従業員に対して給料を支払う義務が有ります。逆にいうと、従業員は会社に対して「給与債権」を持っているという事です。この、債権を税務署が差押えするという訳ですね。この場合、会社は第三債務者となり、給料相当額を従業員ではなく税務署に対して支払う事になります。

参考:差し押さえる債権が給料の場合は、原則として給与の4分の1までしか差し押さえる事が出来ません。従って、給料の4分の3は従業員が貰えます(民事執行法第152条第1項)。

そうすると、差押えの通知が勤務先に届くので会社には当然副業の存在がバレますし、おまけに脱税していたという事もバレてしまいます。

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住民税の通知が会社に届いた

本業の会社から給料を貰うとき、前年の給与に関する年末調整の結果確定した住民税額が毎月天引きされます(これを「特別徴収」といいます。)

毎月徴収すべき住民税の金額は、従業員が住んでいる市町村役場から通知が送られて来るのですが、ここには副業の収入も含めた所得の明細が載っています。

なぜなら、従業員が他から給料を貰っていた場合、本業の勤務先がまとめて住民税を徴収することになっているからです。

従って、例えば本業の会社から年400万円払っているのに、住民税の通知書に記載されている所得金額がそれよりも多かったり、払っている給料の割に住民税の金額が高い場合は、副業の存在がバレてしまうという訳ですね。

落ち込む女性

なお、副業が給料ではなく報酬等でもらっている場合は、確定申告書の記載を工夫して住民税を普通徴収(自宅に納付書が送られて来て自分で納付する方法)する事で、勤務先にバレるリスクを減らす事が出来ます。

FX所得は会社にバレる?orバレない?~バレない為の対策も紹介!

但し、副業がアルバイト等の給与所得の場合は、普通徴収にする事が出来ません。従って、会社にバレる可能性はかなり高いですね。

なお、役所によっては副業がバレない様に副業分の住民税だけ普通徴収にしてくれる事も有る様です。どうしてもバレたく無い方は、一度相談してみるのも良いかもしれないですね。

参考:日雇いや給料手渡しにすれば誰にもバレないのでは?と思うかもしれませんが、雇用形態や給料の貰い方に関係なく会社は給与支払報告書を市町村役場に提出しなければなりません。従って、日雇いだろうが手渡しだろうが収入が有る事を役所は知っています。

誰かが告げ口をした

告げ口

副業している事を必死に隠していたとしても、ひょんな事から同僚に副業している事がバレてしまい、その情報が上司等に流れてしまう事も有ります。

副業している事をバレない様にするには、同僚にも秘密にしておいた方が良いでしょうね。

ちなみに、お酒の席で酔った勢いで自ら副業している事を言ってしまうケースも有るでしょうから(いわゆる自爆ですね)、細心の注意を払いましょう。

マイナンバーで副業はバレない!?

副業が会社にバレる主な原因を上で書きましたが、マイナンバーが導入された事でさらにバレやすくなるのでしょうか?

冒頭でも書きましたが、答えは「NO」です。基本的にマイナンバーが導入されたからといって、副業に影響は有りません。

これは、マイナンバー制度の目的や導入前後の手続きの違いを知る事で分かります。

マイナンバー制度の目的

「マイナンバー制度の目的は脱税している人を見つける事だ!」「これからは申告していない人はすぐにバレる!」といった話が制度導入前後に飛び交いましたよね。

しかし、マイナンバーは脱税している人を見つけるためのものではありません。マイナンバー制度のそもそもの目的は以下の3つです(参照元:内閣府)。

  • 公平・公正な社会の実現
  • 国民の利便性の向上
  • 行政の効率化

中でも、税金関係でのメインの目的は3つ目の行政手続きの効率化ですね。

提案する女性

例えば、A社が納税太郎さんという方に給料を払っていて、B社も納税太郎さんという方に給料を払っていたとしましょう。給料関係の資料は税務署や市町村役場に提出されます。また、納税太郎さんが社会保険に加入している場合は年金事務所に資料が提出されます。

ここで、役所側は「納税太郎さんは全部同じ人なのかどうか」という点を調べなければなりません。世の中には同姓同名の人は結構たくさんいますからね、その作業が結構手間だった訳です。

そこで、個人をマイナンバーで管理する様になれば、番号が一致している事を確認するだけで同一人物で有ると判断出来るので、手間が省けます。

参考:従来、国税庁は「KSK(国税総合管理システム)」によって納税者の情報を管理していますが、マイナンバー導入で名寄せの効率・精度が上がると言われています。

つまり、「ある人が副業をしているかどうか」という点はマイナンバー制度では特に気にしていないのです。

また、マイナンバーは会社も役所も目的外で使用をする事は認められておらず、目的外使用をした場合の罰則が設けられています(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第49条・第52条)。

従業員が副業をしているかどうかを調べる為に会社がマイナンバーを使う事は出来ないですし、会社が役所に問い合わせたからといって教えてもらえる訳でもありません。

従って、マイナンバーが導入されたからといって副業がバレるという訳ではないのです。

マイナンバーが導入されても今までと特に何も変わらない!

個人番号制度

上述した様に、マイナンバー制度の目的から、副業がマイナンバーでバレる訳では無い事が分かりました。

では、具体的に会社の手続上、マイナンバーが導入された事で何が変わったのでしょうか。以下で見てみましょう。

会社にマイナンバーを提出

まず、今までは働く際に運転免許証などの本人確認書類を会社に提出していたと思いますが、その一環でマイナンバーカード(若しくは通知カードと本人確認書類)を提出する事になりました。

とはいっても、本人確認書類を提出するという点では今までと特に変わりないですね。

年末調整書類にマイナンバーを記載

扶養控除申告書

次に、会社が従業員に給料を支払った場合、年末調整の際に給与支払報告書を市町村役場に提出しますが、この書類には従業員のマイナンバーが記載されています。

参考:税務署にも源泉徴収票を提出する必要が有りますが、金額によっては提出が不要となります(参照元:国税庁「タックスアンサー 給与所得の源泉徴収票の提出範囲と提出枚数」)。

また、外注等としてお金を貰っている場合、内容によっては会社が税務署に対して支払調書を提出する事になるのですが、この支払調書にもマイナンバーが記載されています。

この様に、マイナンバー導入によって役所への提出書類にマイナンバーが記載される様になりましたが、書類自体は元々提出が必要なものだったので、特に何かが変わるという訳では無いですね。

役所でマイナンバーを元に名寄せをする

続いて、役所は提出された書類を元に上述した様に名寄せをします。この名寄せをする際には元々納税者毎に番号が振られていたので、マイナンバーが導入されようがされまいが、特に変わり有りません。

別の役所同士(税務署と市町村役場や、税務署と年金事務所など)での情報の整合性確認は便利になるでしょうけどね。

住民税の支払通知書にマイナンバーが載る

納得する女性

最後に、給与支払報告書を市町村役場に提出すると住民税の支払通知書が勤務先に届きます。そして、この通知書には従業員のマイナンバーが記載されています。

但し、元々この支払い通知書は勤務先に届く様になっているので、通知書にマイナンバーが記載されているかどうかの違いに過ぎません。

結局のところ、マイナンバーが導入されたからといって、役所は手続きが便利になるかもしれませんが、一般の方は特に影響がないという事です。従って、マイナンバーが導入されても、それが原因で副業がバレるという事は無いと思っておいて良いでしょう。

副業がバレたのであれば、それはきっとマイナンバー以外に原因が有りますよ。

補足:副業でアフィリエイトをしている方も多いでしょうが、アフィリエイトをしている事がマイナンバーを理由に勤務先からバレる事はないでしょう。また、アフィリエイト報酬は現状、源泉徴収の対象にもなっていないので支払い調書が提出される事も基本的に有りません。但し、外交員報酬に該当するという考え方も有るので、今後は対応が変わるかもしれないですけどね。

「副業で水商売をしている人はマイナンバーでバレる」という噂の真相

「マイナンバーによって副業で水商売をしている人(ホステス・ホスト・キャバ嬢等)はバレる」、という話を聞いた事が有る人も多いのではないでしょうか。

ラウンジ

もともと水商売の業界では、副業や所得がバレない様にアレコレと工夫しているケースが多い、と言われています(要は不正ですね・・・)。

そんな中、「マイナンバーによってこの不正が暴かれてしまう!?」とマスコミが煽ったりネット上で騒がれたりした事が、話題の発端です。

しかし、これは嘘というか少し話を盛っている部分が有ります(架空の人物を作り出して給与を払った事にしていたなどの悪質な手口は、マイナンバーによって阻止されるでしょうけどね。)

従業員としてホステスに給料を支払う場合は、給与から源泉徴収をしなければならないですし、報酬として支払う場合(通常はこっち)は10.21%の源泉徴収をしなければなりません(参照元:国税庁「タックスアンサー ホステス等に支払う報酬・料金」)。

源泉徴収をしていなければ税務調査の際にバレますし、源泉徴収をしているのにホステスが確定申告をしていない場合も税務署にバレます。

但し、これらはマイナンバー制度とは関係なく、今までも同じでした。

従って、基本的にマイナンバー導入によって副業で水商売をしている事がバレるという訳ではないです。同様に、親や彼氏・彼女にバレるという心配も特に無いので、この点については安心しても良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?マイナンバー制度の導入によって行政手続きが効率良くなりますが、副業がバレる訳ではないという事が分かりましたね。

そもそも、副業禁止の会社で副業する事はあまりオススメしませんが、副業している事を会社にバレたくない方は、しっかりと確定申告(住民税は普通徴収に!)をして、同僚や上司等に気付かれない様に気を付けましょう。

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