悩む老人

会社を定年まで勤め上げたものの、それまでの貯蓄や退職金、これから貰うであろう年金などだけでは老後の生活が心配だという方も多いでしょう。

そこで、思い切って「退職金等の余剰資金をFXでの資産運用に充てよう!」と考える方もいるはず。

「年金受給者が働いていると年金の支給が停止される」という話を聞いた事が有るかもしれないですが、FXで利益が出た場合も年金は支給停止となるのでしょうか?

この点、年金受給者がFXで利益を出したとしても年金が支給停止になることはありませんので安心してください。

以下、どういった場合に年金が支給停止されるのかも含めて詳しく見ていきましょう。

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支給が止まるのは在職中の老齢厚生年金(在職老齢年金)!

提案する女性

主な公的年金には、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」とが有りますが、年金受給中に働く事で支給停止となる可能性が有るのは、在職中に貰う老齢厚生年金(在職老齢年金)です。

老齢厚生年金を貰っている方が会社勤めして厚生年金の被保険者になった場合、年金額と会社から支給される給与の額によって貰える年金額が減額調整されます。働けば働くほど貰える年金額が減るので、いわば「働き損」ですね・・・。

なお、減額される額の計算方法は年齢によって異なるので、以下でそれぞれの計算方法(平成29年度版)を見てみましょう。

60歳〜64歳までの在職老齢年金

60歳以上65歳未満の方が、在職して厚生年金の被保険者となっている場合、標準報酬相当額に応じて年金は減額される事が有ります。

具体的には、以下の計算式に従って調整後の年金支給月額が算出されます。

なお、計算式に出て来る項目の定義は以下の通り。

  • 基本月額    ・・・加給年金を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額
  • 総報酬月額相当額・・・(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計)÷12
基本月額(A)と総報酬月額相当額(B)計算方法
(A)+(B)≦28万円全額支給
(A)≦28万円かつ(B)≦46万円基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2
(A)>28万円かつ(B)≦46万円基本月額-総報酬月額相当額÷2
(A)≦28万円かつ(B)>46万円基本月額-{(46万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-46万円)}
(A)>28万円かつ(B)>46万円基本月額-{46万円÷2+(総報酬月額相当額-46万円)}
(参照元:厚生年金法附則第11条第1項)

参考:「28万円」や「46万円」といった計算の基礎となる数値は、それぞれ「支給停止調整開始額」「支給停止調整変更額」と呼ばれており、賃金や物価変動に応じて毎年見直しされています(参照元;厚生年金保険法附則第11条2項・3項)。参考までに平成28年度は「28万円」「47万円」でした。

基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円までであれば、在職老齢年金は満額支給されます。これが、よく話題に出る「28万円の壁」ですね。

計算例:

基本月額が12万円、総報酬月額相当額が26万円だった場合、減額される在職老齢年金は7万円{12万円−(26万円+12万円−28万円}÷2}になります。

なお、厚生年金基金の加入期間が有る場合、厚生年金基金に加入しなかったと仮定して計算した老齢厚生年金額を基に基本月額を算出します。また、老齢厚生年金の支給額がゼロになる場合(支給が全額停止されている場合)、加給年金も受ける事が出来ません(65歳以上の場合も同様)。

65歳以上の在職老齢年金

電卓を触る女性

次に、年金受給者が65歳以上の場合に、在職老齢年金がどの様な計算で減額されるのかについて見てみましょう。

なお、計算式に出て来る項目の定義は以下の通り。

  • 基本月額    ・・・加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
  • 総報酬月額相当額・・・(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計)÷12
基本月額(A)と総報酬月額相当額(B)計算方法
(A)+(B)≦46万円全額支給
(A)+(B)>46万円基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-46万円)÷2

上記より「(基本月額+総報酬月額相当額-46万円)÷2>基本月額」の場合には、年金は全額支給停止(支給ゼロ)となります。
(参照元:厚生年金法第46条第1項)

基本月額と総報酬月額相当額の合計が46万円までであれば、在職老齢年金は満額支給されます。これが、いわゆる「46万円の壁」です。また

参考:平成28年までは基準額が47万円だったので、「47万円の壁」と言われていました。

計算例:

基本月額が20万円、総報酬月額相当額が34万円だった場合、減額される在職老齢年金は16万円{20万円-(20万円+34万円-46万円}÷2}になります。

なお、70歳以上の方は厚生年金適用事業所に勤務していたとしても厚生年金の被保険者にはなりません。しかし、65歳以上の方と同様の計算をするので、在職中は支給停止となるケースが有ります(厚生年金法第14条第1項5号・第46条第1項)。

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FXで利益が出ても年金は支給停止にならない!

OK

上述の様に、年金受給者が働いていると在職厚生年金は減額される事が有ります。しかし、年金以外の収入があれば必ず年金が支給停止になるという訳では有りません。

支給停止に関する規定のある「厚生年金法第46条第1項」「厚生年金法附則第11条第1項」を見てみると、冒頭に「老齢厚生年金の受給権者が被保険者である」という記載が有ります。

厚生年金法附則第十一条  

附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日又は国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額を十二で除して得た額との合計額が支給停止調整開始額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額に十二を乗じて得た額に相当する部分の支給を停止する。ただし、当該各号に掲げる場合において、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。

(分かりやすくする為に条文中の括弧書きは省略しています)

つまり、「厚生年金の被保険者の場合にのみ年金を減額される可能性が有る」、という訳です。

FXによる所得は、申告分離課税の雑所得なので厚生年金とは関係有りません。従って、年金受給者がFXで利益を出したとしても年金が支給停止になる事は無いです。確定申告をして20%の税金(別途、復興特別所得税が必要)を納付すれば終わりですね。

参考:年金とFXの利益額によっては確定申告が不要となるケースも有ります。(参照記事:FX収入がある年金受給者の確定申告

老齢厚生年金の受給者がFX法人を設立した場合、法人なので厚生年金の適用事業所になります(参照元:厚生年金法第6条第1項2号)。この場合は、役員報酬の金額によっては在職老齢年金の金額が減る可能性も有ります。

まとめ

いかがでしたか?

年金受給者が会社勤めをして厚生年金の被保険者になった場合、在職老齢年金額は減額される可能性が有ります。

しかし、FXによる利益は厚生年金とは関係無く、申告分離課税の雑所得です。従って、年金受給者がFXで利益を出したとしても基本的に年金が支給停止となる事は有りません。

「年金が減るかも!」と心配する必要は無いので、気兼ねなくFX投資をしてOKです。FXで老後の豊かな生活を送れる様になると良いですね。

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